婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
「ちょっと、アンジェリ―ナ様!」
ビクターの部屋を離れ階段を下っていると、ララが小走りで負いかけてきた。
「正気ですか? ビクター様とご結婚して逃げ出すより、この塔に一生幽閉されることの方をお選びになるなんて!」
「正気に決まってるじゃない」
アンジェリ―ナはそのまま地下に行くと、もやしの育成具合のチェックを始めた。一度目の収穫で味をしめ、今は瓶を倍の数に増やしている。今度はどんなもやし料理にしようかしらと、今から楽しみで仕方ない。思わず、頬が緩んだ。
「それにララ、忘れてない? 私はこの国の王子の命令で、この塔に幽閉されているの。そこから逃亡することは、王族に逆らうも同じ。お父様やお母様も罪人にされ、いずれはランバート家もろとも路頭に迷うでしょうね」
「それはまあ、そうですけど……」
ララの声が、尻すぼみになっていく。ここアッサラーン王国において、王族の権力は絶対的なもの。歯向かえば、アンジェリ―ナだけでなく、一族ですら潰される。
ララが、グスンと洟を啜り上げた。
「ご実家のために、アンジェリ―ナ様はビクター様のプロポーズをお断りになられたのですね……。なんて健気なお方なのでしょう」
「え? いやいや、違うし」
ララの考察に、アンジェリ―ナは思わず素で否定する。
「普通に、ここにいたいだけよ。そもそも、彼のことは好きでも何でもないし」
「ええっ! あれだけの美丈夫を前にして、よくそんなことが言えますね!」
ビクターの部屋を離れ階段を下っていると、ララが小走りで負いかけてきた。
「正気ですか? ビクター様とご結婚して逃げ出すより、この塔に一生幽閉されることの方をお選びになるなんて!」
「正気に決まってるじゃない」
アンジェリ―ナはそのまま地下に行くと、もやしの育成具合のチェックを始めた。一度目の収穫で味をしめ、今は瓶を倍の数に増やしている。今度はどんなもやし料理にしようかしらと、今から楽しみで仕方ない。思わず、頬が緩んだ。
「それにララ、忘れてない? 私はこの国の王子の命令で、この塔に幽閉されているの。そこから逃亡することは、王族に逆らうも同じ。お父様やお母様も罪人にされ、いずれはランバート家もろとも路頭に迷うでしょうね」
「それはまあ、そうですけど……」
ララの声が、尻すぼみになっていく。ここアッサラーン王国において、王族の権力は絶対的なもの。歯向かえば、アンジェリ―ナだけでなく、一族ですら潰される。
ララが、グスンと洟を啜り上げた。
「ご実家のために、アンジェリ―ナ様はビクター様のプロポーズをお断りになられたのですね……。なんて健気なお方なのでしょう」
「え? いやいや、違うし」
ララの考察に、アンジェリ―ナは思わず素で否定する。
「普通に、ここにいたいだけよ。そもそも、彼のことは好きでも何でもないし」
「ええっ! あれだけの美丈夫を前にして、よくそんなことが言えますね!」