追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 ムンクの叫びを踏襲した私の熱演に、令嬢らはこぞって白い目を向けた。
「でも、足もとに黒いのがっ! 黒い大群が、カサカサしてっ……っ!」
 私はムンクを続行し、さらに悲壮感を篭めて叫ぶ。そうすれば令嬢らも、クッキリと眉間に皺を寄ながらツツツッと目線を落とし――。
「……い、いっ、いや――っ!!」
 ”黒いそれ”を視界にとらえた令嬢らは、ピョーンと飛び跳ねて絶叫し、散り散りになって去っていった。
 ……ふう、行った行った。私は令嬢らの足もとに落ちた”黒いそれ”、ブラックカルダモンを拾い上げた。
 ブラックカルダモンは一般的なグリーンカルダモンに比べて、ハッカのようなスーッとした清涼感が強い。料理に使われることが多いが、香り風味もいいので、実はハーブティーにも最適なのだ。
 かくいう私も、就寝前のお楽しみとしてハーブティーにしようと、ポケットに忍ばせてあったのだ。
「もう、大事なスパイスを床に投げるなんて罰当たりなことをしちゃったわ。……まぁ、宮殿の床はピカピカに磨かれてるから、拭けば全然平気だけどね」
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