追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 私はクロフに応接ソファを示し、あらかじめ用意していた自分のカップの他に、備え付けの戸棚からもうひとつ新しいカップを取り出した。
 ふたつのカップに、ティーポットからちょうど飲み頃に抽出されたカルダモンティーを注ぐ。
「とても香り高い。どうやら私は、思いがけずとてもよいタイミングであなたの元を訪れたようです」
 ソファに腰を落としながら、クロフはそう言って笑みを深めた。
「よかった。これでゆっくり、ひと息ついていってください。王宮に戻ってからのクロフは、毎日とても忙しそうですから」
 私はクロフの前に温かな湯気が立つカップを丁寧に置いて、そっと持ち手から手を離す。
 すると、向かいからスッと手が伸びてきて、引き際の私の手を握り込んだ。
 え!? 突然、大きな手にすっぽりと包み込まれて、その感触と温もりに鼓動が跳ねた。
「あなたはどこまでもやわらかで優しいのですね」
「ク、クロフ?」
 真っ直ぐに私を見つめる紫の瞳と目線が絡めば、否が応にも胸が騒いだ。
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