追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
「それにしたって、彼らがあんなに大きなペットを飼っていたなんて、ちっとも知らなかった。ルークのペットなら、きっと王都から連れてきたのよね。だけどあんなに大きな子、よく運べたわね。薬とかで眠らせて、専用の荷馬車か何かで運んだのかしら?」
「いえ、普通の幌馬車に座ってやって来ているはずですよ」
「まぁ! そんなに長い時間、大人しくお座りしたままいられるなんて、本当にお利口さんなのね~!」
「……そうですね」
 ただし、長い時間、大人しくお座りしていたお利口さんは、人型のカーゴだが。
 シーラさんとの会話は、一旦ここで途切れた。
 接客を続けながら、私はひとり、首を傾げていた。
 ……いったいどうして、突然あの姿を明かすに至ったのだろう? 私にはわからないけれど、きっとプリンスとルークのふたりには、何か考えがあるに違いなかった。
「アイリーン、苺ミルクをふたつ、追加で頼むぜ」
 下膳の途中で足を止め、私が人だかりの中心に座すプリンスをジーッとジーッ眺めていると、ルークから追加オーダーの声が掛かった。
「はーい」
 ……プリンスの分は、カップじゃない方がいいわよね。
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