追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 私は厨房に戻ると、苺ミルクをいつものカップでひとつ、もうひとつを平皿に作り、シロップと一緒にトレイにのせる。このシロップは、以前は付けていなかったのだが、二週間ほど前から付け始めるようにした。
 それというのも、私たちがこの村に移住して四カ月が経ち、マイベリー村の苺シーズンは既に終盤に差し掛かっていた。ハウス苺の栽培が終わり、カフェで使用する苺も二週間前から、露地栽培の物に切り替えている。
 太陽の光をいっぱいに浴びて育った苺は果肉がしっかりとして瑞々しいが、甘さはどうしてもハウス栽培のそれには劣る。だから、お客様の好みで甘さを足せるように、蜂蜜シロップを別添えで提供するようにしていた。
 私が苺ミルクののったトレイを持ってテラスに行くと、プリンスが人だかりの中心でとろけていた。
 ……え? プリンスの、このとろけっぷりは、いったいなにごと!? 
「そうかそうか~。じいさんを目医者に行かせる原因は、おめえさんだったか。あーれ、あれ。こりゃ、おとなしくていい子でねえの」
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