追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました２

　プリエーラが鼻で笑って居丈高に言い放つと、アイリーンは言い淀んだ。
　すると、ノアールが俺の頭を労わるようにひと撫でし、ふたりの間に進み出た。
「今のはね、彼女のバスケットを代わりに持とうとしたのさ。ね、白？　……アイリーン、気づかなくってごめんね。そのバスケット、僕がひとつ持たせてもらうね」
　ノアールは俺を撫でた手で、今度はアイリーンの持つバスケットをスッと取り上げた。
「どうして動物の言葉が、ノアール殿下にお分かりになるんですの？　……はぁ。もう、いいですわ」
　プリエーラは不満げにこぼすと、侮蔑の篭る目で俺をキッとひと睨みして、足早に令嬢らのもとに戻っていった。
　アイリーンが空いた手で、俺の頭頂から首にかけてを優しく撫でる。
「……そうだったのね。私のバスケットを持とうとしてくれてたのね、ありがとうプリンス」
　やわらかな彼女の手で撫でられるのは、他の誰に撫でられるよりも心地よくて、喉が勝手にコロコロと鳴る。俺はその手にスリスリと頬を寄せ、彼女の感触と香りを堪能した。
　ところが、アイリーンは幾度か手を往復させると、やんわりと俺から手を引いてしまう。