追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました２

「肩を落としてどうしたのプリンス？　もしさっきのプリエーラの言葉を気にしているのなら、その必要はないわよ。だって昨日、彼女が雑炊になにかを混入したのが事実なら、近い将来、檻や拘束具に縁が出てくるのは彼女の方だもの」
　アイリーンから告げられた予想外の台詞に驚くと同時に、なるほどそうかと、納得もさせられる。
「ね？　檻越しにキャンキャン吼えている彼女が目に浮かぶようでしょう？」
　目を見張る俺に、彼女は笑みを深くして、悪戯っぽく囁いた。そんな彼女が、俺にはどことなく生き生きして見えた。
　……もしかするとアイリーンは、プリエーラのちょっかいや意地悪も全て、手のひらの上で転がして、まるごと楽しんでいるのかもしれないと、そう思った。
「……あら、見て！　水面がキラキラして、とても綺麗よ！」
　アイリーンが、進行方向の左手側に見える水面の反射に気づき、嬉々とした声をあげた。
「あぁ、ほんとだね。今日は天気がいいから、アムル川に太陽が反射して光ってるんだ」
　ノアールも左前方を見つめ、目を細くした。
　……たしかに、見事だな。