追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました２

　さらに近づくと、ここのところの晴天続きで川の水が普段より澄んでいるらしく、川面に綺麗に青空が映っているのが見えた。
「まぁ！」
「綺麗ですわ」
　間近に望むアムル川の絶景には、アイリーンやノアールのみならず、プリエーラたちもこぞって沸いた。何を隠そう、このアムル川とその周辺の景色景観は、ラファーダ王国において随一の観光名所だ。
　真夏ともなれば、景色を眺めるのみならず、川遊び目当てに多くの家族連れが訪れる。
　ただし、暖かくなり始めてきたこの時期の川で泳ぐなどは、もってのほかだ。
　理由は、北の氷山から流れ込む大量の雪解け水で、暖かくなり始めた陽気に油断して万が一飛び込みでもしようものなら、溺れるより先に、心臓発作で旅立ってしまう。この時期のアムル川は、その水量もさることながら、外気からは想像も出来ない凍るような冷たさなのだ。
「これは大橋も景色を眺める人たちで賑わってそうだね」
「そうですね」
　このまま川べりに沿って上っていくと大橋がある。そこを渡れば、俺たちが目指すアムルの丘は目の前だ。
「お待ちくださいませ、ノアール殿下」