追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 ところがだ、大橋を目前に、これまでずっと空気に徹していたノアールの護衛官が声をあげた。
「なにか緊急事態!?」
 珍しく護衛官から声を掛けられたノアールは、驚きの声をあげた。
「いえ、緊急事態ではないのですが、この先の道程に問題が発生したようで。先ほど、生活安全省の係員が手綱を取る馬車が慌てた様子で通過していくのを目撃し、相方が後を追って確認の上、一報をあげてまいりました。現在、相方は事実確認のため、大橋へと向かっております」
「それは、大橋でなにかがあったということ?」
「はい。まずはあちらをご覧ください」
 護衛官が示す方向に目を凝らすと、今まさに係員らが大型の木製看板を固定しているところだった。
「件の馬車の積み荷というのが、あの看板でございまして……」
 もう少し近づいて確認すると、看板には赤字で、大橋の緊急整備を告げる文言が綴られていた。
「えー!? そんなの聞いてないけど、本当に緊急の整備なんてやってるの?」
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