追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 ところがだ、吊り橋の安全性を確信したはずの俺の耳に、うしろから素っ頓狂な悲鳴があがる。
 なんだ!?
 ギョッとして振り返ると、俺に続いて橋を渡ろうとしていた面々が、こぞって手擦りにしがみついていた。
 ……ん?
「ノアール殿下! やはり、ペットの躾がまるでなっておりませんわ!」
「そうですわ! 重量級のそのペットが勢いよく先を進んでは、重みで橋が波打ち、私たちが渡れませんわ!」
 プリエーラや令嬢らの黄色い悲鳴に、俺は、自身こそが吊り橋の安全性を脅かす脅威と認識されている現状を知り、愕然とした。
「ごめんね白、たしかに君の後だと揺れが大きすぎて渡れなそうだ。僕たちが先に行くから、君は後から着いてきてくれる?」
 申し訳なさそうにノアールに言われ、俺はすごすごと橋を引き返した。
「まったく、図体ばかり大きくて。そのくせ考え無しで、本当に困ったものですわ。私が、先にまいりますわ」
 戻って来た俺に、プリエーラがフンッと鼻を鳴らして告げる。
 失礼な物言いに思うところはあったが、彼女の最後の一言は俺にとって願ってもない申し出だった。
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