追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 昨日の一件を踏まえれば当然だが、今日の外出に際し、俺はプリエーラを警戒していた。常に視界の端に彼女を捉え、目を光らせていたのだ。
 そんな状況下で、彼女に背後を取られることは好ましくなかった。それが、著しく動きの制限される吊り橋上ならなおのことだ。
 俺がうしろを行く方が、万が一彼女が怪しい動きをした時に、すぐに対処ができていい。
 とはいえ、先陣切ってズンズンと吊り橋に踏み出していく彼女は、悪だくみを目論んでいるようには見えない。おそらく、プリエーラがこの吊り橋でなにか仕掛けてくることはないだろうと思った。
 プリエーラのうしろに令嬢たち、ノアールと、続いて橋を渡り出した。
「さぁプリンス、ゆっくりいけば揺れないわ。私と一緒に渡りましょう」
 一番最後にトンッと吊り橋に踏み出したアイリーンが俺を振り返り、そっと背中を撫でながら促した。
 ……ふむ。ゆっくり、揺らさないように、だな。
 アイリーンに誘われるまま、俺は橋を揺らさぬよう、そっと、そおっと足を踏み出した。
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