追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 ター坊のお友達だろう数人の子らも寄って来て、代わる代わるにプリンスを撫でる。
「わぁっ! モフモフだ!」
「やわらかい!」
「ふわふわだわ!」
 子供達は口々に、興奮気味に叫んだ。
 プリンスは方々から差し出される手に、とろーんとなって身を委ねていた。
「さぁターロウ、そろそろお夕飯のお買い物に行かなくちゃ。今日はもう、帰りましょう」
「はぁい。ねぇお母さん、僕が言った通りだったでしょう? でっかい毛むくじゃらは、本当にいたでしょう?」
「そうね、ターロウの言う通りだったわ。お母さん、あなたの言葉を信じてあげられなくてごめんね」
「ううん! 最初は僕だって、こんなでっかい化けネコ、自分の目が信じられなかったもん!
 だけどこうしてお母さんにも、皆にも信じてもらえたからよかった!」
 ター坊とお母さんが席を立ち、会計を済ませてカフェを後にする。
「ご馳走様でした」
「お姉ちゃん、またね!」
「ありがとうございました」
 ター坊母子や、ター坊の友人らが帰っても、プリンスは相変わらず、おばあさんの膝の上でとろけっぱなしだった。
 目の前の光景が、私の胸をざわざわとさせた。
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