追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
ふと、ノアールはあの時もオオカミに転じれば難を逃れられたのではないかと思ったが、ぴょこぴょことアイリーンの足に縋って跳ねる姿を見て、チビオオカミの非力を確信した。
「放っておけるわけがない。あなたは、大切な弟の命を二度も助けてくれた恩人なのですから」
至極真面目に返されて、俺はうんざりとため息をついた。
「それはもういい。わざわざ訪ねて来たレオナルド王から、耳にタコができるほど感謝の言葉を告げられている。賓客用の部屋への移動や、礼の宴席についても再三誘われ、やっとのことで派手な歓待は不要だと納得してもらったんだ。俺が第二王子を助けたことは事実だが、俺はそれに対してなんら見返りは求めない。むしろ、お忍びの身の上にあって、これ以上騒ぎ立てられる方が困る」
「本当に……あなたはあっ晴れなくらい欲のない男ですね」
……欲がない?
それは、おかしなことだ。俺は、己ほど欲深い男はいないだろうと思っている。
派手な歓待や豪華な待遇が、望みではないというだけ。俺が望むのは、もっと別……まばゆい笑みと嫋やかな手を持つ彼女、ただひとりだ――。
「放っておけるわけがない。あなたは、大切な弟の命を二度も助けてくれた恩人なのですから」
至極真面目に返されて、俺はうんざりとため息をついた。
「それはもういい。わざわざ訪ねて来たレオナルド王から、耳にタコができるほど感謝の言葉を告げられている。賓客用の部屋への移動や、礼の宴席についても再三誘われ、やっとのことで派手な歓待は不要だと納得してもらったんだ。俺が第二王子を助けたことは事実だが、俺はそれに対してなんら見返りは求めない。むしろ、お忍びの身の上にあって、これ以上騒ぎ立てられる方が困る」
「本当に……あなたはあっ晴れなくらい欲のない男ですね」
……欲がない?
それは、おかしなことだ。俺は、己ほど欲深い男はいないだろうと思っている。
派手な歓待や豪華な待遇が、望みではないというだけ。俺が望むのは、もっと別……まばゆい笑みと嫋やかな手を持つ彼女、ただひとりだ――。