追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
「誰がこの国の次の王になろうが、俺には関係ないことだ。少なくとも現時点では、俺の国とろくすっぽ国交がないんだからな。とはいえ今後、両国の関係がどう変わっていくかは、わからない。だから、一家で腹を割って話し合い、正式に後継者が決定したら教えてくれ。……たぶん、お前だろうがな」
「どうでしょうか?」
奴はヒョイと肩を竦めると、俺から目線を外し、窓越しに煌々と光る月を見上げた。
こいつは利口なくせに、自分のこととなると、てんでわからなくなってしまうらしい。
ちなみに俺は、実際に顔を合わせる以前から、レオナルド王が後継者に据えるのはこいつだと確信していた。交流はなくとも、当然彼の王の人となりは聞こえてくる。レオナルド王は、王位継承にいたずらに私情を絡め、政治を混乱させるような愚か者ではない。
今回、対面を果たしたことで、その思いは一層強固になった。客観的に見て、ラファーダ王国の次期国王はこいつだ。
「……それにアイリーンという最愛の女性に出会った今、私はこうも思うのです。彼女の心を得ることは、一国の王の座にも勝るとも及ばぬ価値があるのではないかと」
俺が見るともなしにその端正な横顔を眺めていれば、奴が唐突に切り出した。
……それは、どういう意味だ?
何故、奴がここでアイリーンを引き合いに出すのかが、俺にはわからなかった。
「アイリーンには権力欲がありません。ですから求婚にはむしろ、王太子という肩書きがない方が、いいのではないでしょうか」
な、なんという打算に満ち溢れた発言――! こいつは毛皮だけでなく、腹の内まで、真っ黒に違いない!
全身がビリビリした。それはアイリーンにも、弟にも、あまりにも失礼というものだ!
「どうでしょうか?」
奴はヒョイと肩を竦めると、俺から目線を外し、窓越しに煌々と光る月を見上げた。
こいつは利口なくせに、自分のこととなると、てんでわからなくなってしまうらしい。
ちなみに俺は、実際に顔を合わせる以前から、レオナルド王が後継者に据えるのはこいつだと確信していた。交流はなくとも、当然彼の王の人となりは聞こえてくる。レオナルド王は、王位継承にいたずらに私情を絡め、政治を混乱させるような愚か者ではない。
今回、対面を果たしたことで、その思いは一層強固になった。客観的に見て、ラファーダ王国の次期国王はこいつだ。
「……それにアイリーンという最愛の女性に出会った今、私はこうも思うのです。彼女の心を得ることは、一国の王の座にも勝るとも及ばぬ価値があるのではないかと」
俺が見るともなしにその端正な横顔を眺めていれば、奴が唐突に切り出した。
……それは、どういう意味だ?
何故、奴がここでアイリーンを引き合いに出すのかが、俺にはわからなかった。
「アイリーンには権力欲がありません。ですから求婚にはむしろ、王太子という肩書きがない方が、いいのではないでしょうか」
な、なんという打算に満ち溢れた発言――! こいつは毛皮だけでなく、腹の内まで、真っ黒に違いない!
全身がビリビリした。それはアイリーンにも、弟にも、あまりにも失礼というものだ!