追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 養蜂場に行くには、岩山に沿うように道を進む必要がある。シーラさんやルークが道が悪いと心配していたのは、この道のことだ。
 道幅自体はそれなりにあるが、地元民しか通らないために予算が割かれず、崖側に柵等の設置はない。万が一誤って足でも滑らせようものなら、崖を転がり落ちてしまう。
 村民に対しては、村役場から回覧板や掲示といった方法で注意喚起がなされていた。私は慎重を期して、道の中央を進んだ。
 ――ガタガタッ。――ガタンッ!
 突如、後ろからけたたましい馬車の走行音が響く。え?っと思って振り返ると、小型の馬車が猛スピードでこちらに向かっていた。
「きゃぁっ!」
 馬車が岩肌に近い方を走行してきたため、道の真ん中にいた私は、必然的に切り立つ崖の側に避けるしかなかった。
 すれすれを通過する馬車に触れぬようバスケットをグッと懐に引き寄せて、身を縮めた。
 ……もう! こんな悪路を速度も落とさず馬車で走行しようなんてどうかしてるわ!
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