追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 最初に感じたのは、頬っぺたをペチペチとされる感触。ぷにぷにとして、ちょっとだけしっとりとしたその感触に、私は馴染みがあった。
 全身がモフモフとした温もりに包まれているのもわかった。しかも背中のモフモフとしたそれは、私が全体重を預けてもまったく揺るがない安定感だ。ならば、背後のモフモフは相当な大きさと見た。
 これももう、間違いなかった。
「……ふふふ。プリンスったら、ペチペチしないで。……やあよ」
 口では「やあよ」と言いながら、私はプリンスと一緒のこの状況を、内心で嬉しいと感じていた。
 ……ところで私、どうしてプリンスといるんだっけ? もしかして、これって夢なのかしら?
 ……うーん、わからない。
 この状況に至った理由は思い出せなかったけれど、ずっとモフモフしたいのを我慢していたことだけはわかった。
 ……うん! 夢でも全然オッケー! 私は夢現のこの状況を甘んじて受け入れて、頬っぺをペチペチしているモフモフの前足をキュッと握った。
 ……ん? なんだかちょっと、いつもと触り心地が違う?
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