追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました２

「また、僕たちをのっけて歩いてよ！」
　イテッ！
　背中に圧し掛かってきた坊主のひとりにドフッと脇腹を蹴られた。
　怒り心頭の俺は、そのまま坊主らを背中に乗せ、歩きといわず猛ダッシュでカフェの前を駆けてやった。
「う、うっ、うわぁあああ――っっ！」
　フンッ！　大サービスだ！

　坊主らは、俺のサービスに大満足で帰っていった。泣いて喜ぶ輩までいたのだから、俺はなかなかに、いい仕事をしたようだ。
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい」
　……アイリーンが帰ってきた！　まさか、奴も一緒か!?
　店内から聞こえてきたアイリーンの声に、テラスで丸まっていた俺は、弾かれたように顔を上げた。
「お皿洗い、代わりますね。シーラさんもよかったら母屋に戻って、休んできてください。あまり混んでいないようなので、これなら私ひとりで大丈夫ですから」
　テラスから店内を覗き込めば、裏口から戻って来たアイリーンがエプロンを結びながら、シーラさんに交代を申し出ていた。