追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
「そうかい、白ちゃんはほんとに利口なんだねぇ。食事は、なんも心配いらないよ。じいさんとふたりじゃ、作るのも食うのも味気なかったんだ。だけど、白ちゃんがいてくれるとなりゃ、きっと楽しくなるねえ」
 老婆は、自分の夫が後ろから俺のことを仇でも見るような目で睨みつけているのに気づこうともせず、嬉しそうに俺をモフモフと撫でた。
 ……俺の世話を頼むにあたり、候補にあがったのは、シーラさん、ジェームズさん、この老婆の三人だった。
 足がまだ完治していないシーラさんは、一番に候補から外れた。
 ならば、ジェームズさんが有力かと思われたが、出発直前のタイミングで風邪で寝込んでしまった。そんな状況で、俺の世話を押し付けるのは憚られた。
 こうなれば、必然的に五体満足でかくしゃくとした老婆の立候補が、一気に最有力に躍り出た。そのまま、あれよあれよという間に、飯は老夫婦の家で食わせてもらうことが決まった。
 ……本当は、俺だってこんなところにとどまらず、アイリーンについていきたい。
 だけど現実問題、俺の姿は人目を引き過ぎる。こんなに寛容に受け入れられているマイベリー村の状況が異常なのだ。
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