追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
「あの、レオナルド陛下。私は移動中もずっと座っていただけで、疲れていませんので、よかったらこのままノアール様のことを聞かせていただけませんか?」
 私が国王様に申し出れば、すかさずクロフが隣から私の腕を取る。
「アイリーン、無理をしなくてよいのですよ。せっかちな父上の戯言など気にせず、一晩待たせておけばいいのです」
「やあねクロフ、無理なんてしてないわ。実際、移動の道中では、あなたが一回も手綱を握らせてくれなかったんだもの。疲れようがないわよ」
「当然です。どうして私があなたを御者台に座らせて、自分が車内に座っていられると思うのですか」
「ははははっ! これは珍しいこともあったものじゃな! クロフがこのように、女性と親し気に話すところなど、初めて見よった。これだけでもアイリーン殿、其方がいかに知勇に優れた女性か知れよるわ! いやいや、あっ晴れじゃ!」
 私とクロフのやり取りを見ていた国王様が、嬉々とした声をあげる。
 私の馬鹿……っ! 言動に気をつけようって、ほんの数分前に誓ったばっかりなのに、なに国王様の御前でクロフと軽口を交わちゃってるの――!! 
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