追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 ……しかし、それもそのはず。俺はこの二日、あろうことか奴からの施しで食いつないでいるのだから……。
 毎食、屈辱感にもんどりうちながら、それでも襲い来る空腹という名の荒波には抗えず、気づくと前足がツツツッと差し入れに伸び、次の瞬間にはもぐもぐパクパク頬張ってしまうのだ。
 これもすべては、欲望に従順な獣の本能ゆえ。……あぁ、毛むくじゃらの我が身が憎い!
 俺は涙をちょちょぎれさせ、アイリーンの後追いを決意し、そして、奴から初めて施しを受けた二日前に思いを馳せた――。

◇◇◇

 老夫婦の家からの帰路。お留守番が思った以上に心に堪え、俺は不覚にも目に涙を光らせていた。
「白いの。なに泣いてるの?」
 ち、違うんだ! 俺は泣いてなどいな……ん?
 振り返ると、俺の目撃者第一号のターロウという坊主が立っていた。
「お前、アイリーンお姉ちゃんに置いていかれちゃって、悲しくて泣いてたんだろう? ……僕にはわかるよ。僕も、悲しい気持ちは同じだもの」
 いや、だから俺は泣いていたわけでは……。反論の声をあげかけたが、坊主が共感を示し、慰めるように俺を撫で始めたものだから、そっと口を閉じた。
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