追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 ……どうして俺は、坊主に言われるまで気づけなかったのだろう?
 そうなのだ。彼女を守るには、彼女と行動を共にすることが全てではない。陰から彼女を守るという選択肢もあったのだ!
 坊主の言うように、「こっそりと」アイリーンを助ければいいんだ――!!
 果たしてルークは、俺のこの行動を想定していたのか、いないのか……。
 とにもかくにも、俺はルークが老婆に説明したところの放浪癖を発動し、アイリーンたちを追ってマイベリー村を飛び出した。
 聖獣は疾風のごとき速さで駆ることができる。案の定、マイベリー村を飛び出した俺は、あっという間にそれらしい馬車に追い付いた。
 ……あの馬車だよな?
 茂みの陰に身を潜め、様子を窺う。……あ、アイリーンだ!!
 車窓越しに、丸三日振りにアイリーンの横顔を見る。その瞬間、俺は嬉しさのあまり、思わずピョーンと飛び跳ねた。
 それにより、身を潜めていた茂みから俺の全長がビヨーンと飛び出して、大通りに丸見えになった。
 ……い、いかんっ!
 俺は大慌てで、ズボッと茂みに引っ込んだ。幸いにも、大通りを行き交う人々が俺に気づいた様子はなかった。
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