追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
『ありがとう、大事に使わせてもらうわ!』
聞こえてきた彼女の声に、クラリと体が傾ぎ、ガクッと地面に膝が折れる。
奴からそれを、貰ってしまったのか……ぁ、あ、ぁあああ――。
砂と化した俺は、サーッと吹き抜けていく風に、サラサラと舞い散った。
そのために、奴が勝ち誇ったような顔をして俺を流し見たことには気づけなかった。
寒い外気に、寒い心。さらに、美味しそうな匂いが時たま、風に乗ってふわりと漂う食堂の向かいの茂みでひとり、待ちぼうけ……。
――グゥウウ~。キュルルルル~。
空腹まで加わって、俺はすっかり弱っていた。
するとその時、食堂の入口から奴が出てくるのに気付き、俺は重たい腰を上げた。
……お、もう食い終わったか。思ったより早かったな。
ところが出てきたのは奴だけで、アイリーンやルークが続いて出てくる気配はなかった。
もしかして奴は、馬車に財布でも忘れたのか?
俺は小首を傾げながら、葉っぱと葉っぱの隙間から、見るともなしに奴の動向を目で追った。
しかし、奴は俺の想像に反し、馬車の横を素通りした。
……ん? 馬車に用じゃなかったのか?
聞こえてきた彼女の声に、クラリと体が傾ぎ、ガクッと地面に膝が折れる。
奴からそれを、貰ってしまったのか……ぁ、あ、ぁあああ――。
砂と化した俺は、サーッと吹き抜けていく風に、サラサラと舞い散った。
そのために、奴が勝ち誇ったような顔をして俺を流し見たことには気づけなかった。
寒い外気に、寒い心。さらに、美味しそうな匂いが時たま、風に乗ってふわりと漂う食堂の向かいの茂みでひとり、待ちぼうけ……。
――グゥウウ~。キュルルルル~。
空腹まで加わって、俺はすっかり弱っていた。
するとその時、食堂の入口から奴が出てくるのに気付き、俺は重たい腰を上げた。
……お、もう食い終わったか。思ったより早かったな。
ところが出てきたのは奴だけで、アイリーンやルークが続いて出てくる気配はなかった。
もしかして奴は、馬車に財布でも忘れたのか?
俺は小首を傾げながら、葉っぱと葉っぱの隙間から、見るともなしに奴の動向を目で追った。
しかし、奴は俺の想像に反し、馬車の横を素通りした。
……ん? 馬車に用じゃなかったのか?