追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 俺は握り飯に鼻先を寄せ、上から前から横から、あらゆる角度から検分した。
 ……いや、入っているのは毒ではない。中に入っているのは、シャケ、こんぶ、おかかだ! 検分の結果、俺は見事に握り飯の具材を突き止めた。
 よし! 後は実際に食べて、結果の検証をするのみだ――!
 大義名分を得た俺は、今度こそ美味そうな握り飯に噛り付いた。
 結論から言うと、握り飯の中身は予想通り、シャケ、こんぶ、おかかだった。
 ふぅ~、美味かった。
 俺が満腹の腹をポンポンと叩きながら、ひと心地ついていると、食堂から三人が連れ立って出てきた。
 ……お、今度こそ食い終わったか。出発だな!
 腹が満たされた俺は、先ほどまでの重さが嘘のように軽くなった腰を上げた。
『そういえばクロフ、さっきの小事ってやつは、もう済んだの?』
 馬車に向かう途中、アイリーンが奴に向かって思い出したように尋ねるのを耳にして、俺の心臓がドクンと跳ねた。
 ……これは、ヤバイ! 十中八九、奴は俺の存在に気付いている。
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