瞳に印を、首筋に口づけを―孤高な国王陛下による断ち難き愛染―
「相変わらず顔色が悪いな。今日はもう」
「あのね」
レーネはクラウスの言葉を遮り、真剣な眼差しを向けた。おかげで彼も言葉を止めふたりはしばし見つめ合う。そして逡巡した後にレーネは口を開く。
「もしも私がいなくなったらゾフィを王妃に迎え入れてくれる?」
唐突な申し出に クラウスは目を白黒させる。しかしレーネは大真面目だ。
「わざわざ私と結婚したのはノイトラーレス公国との関係もあったんでしょ?」
『決まっている。友好の証としてノイトラーレス公国の王女を望んだんだ。妻にする以外になにがある?』
城に連れてこられたときのクラウスの台詞がずっと引っかかっていた。
自分と結婚したのは、短剣を巡って決着をつけるためというのが前提にあったとしても、国王として少なからずそのような目論見もあったはずだ。
ここのところの体調不良を顧みると、思ったより自分の寿命は長くないのかもしれない。そう考えるとレーネとしては残された妹や自国が心配になる。もちろんクラウスのことも。
「失礼な話なのはわかってる。でも、その方が両国のためにも、国王であるあなたのためにも……」
予想通りクラウスの整った顔が不満そうに歪み、レーネの語尾は弱くなる。さすがに押し付けすぎたと自省し、レーネはうつむいた。
どうして上手くいかないのか。一緒いたい気持ちも、共に生きていきたいと願っているのも嘘じゃない。やっと長年抱えていたわだかまりがとけたのに……。
「あのね」
レーネはクラウスの言葉を遮り、真剣な眼差しを向けた。おかげで彼も言葉を止めふたりはしばし見つめ合う。そして逡巡した後にレーネは口を開く。
「もしも私がいなくなったらゾフィを王妃に迎え入れてくれる?」
唐突な申し出に クラウスは目を白黒させる。しかしレーネは大真面目だ。
「わざわざ私と結婚したのはノイトラーレス公国との関係もあったんでしょ?」
『決まっている。友好の証としてノイトラーレス公国の王女を望んだんだ。妻にする以外になにがある?』
城に連れてこられたときのクラウスの台詞がずっと引っかかっていた。
自分と結婚したのは、短剣を巡って決着をつけるためというのが前提にあったとしても、国王として少なからずそのような目論見もあったはずだ。
ここのところの体調不良を顧みると、思ったより自分の寿命は長くないのかもしれない。そう考えるとレーネとしては残された妹や自国が心配になる。もちろんクラウスのことも。
「失礼な話なのはわかってる。でも、その方が両国のためにも、国王であるあなたのためにも……」
予想通りクラウスの整った顔が不満そうに歪み、レーネの語尾は弱くなる。さすがに押し付けすぎたと自省し、レーネはうつむいた。
どうして上手くいかないのか。一緒いたい気持ちも、共に生きていきたいと願っているのも嘘じゃない。やっと長年抱えていたわだかまりがとけたのに……。