ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「タバコ吸ってくる」
海は作業していた手を止めていつもの場所へ向かう。

その後ろ姿を凌駕と椿が見ていた。

背中が切なさを滲みだしている。



海は一人定位置で空を見上げる。
深いため息とともに煙を吐き出す。

『母の日のフェア、店中手作りのポップとか飾りをして盛大にやりたいの』
香菜からの提案に、海は同意した。
『海のお義母さんにも花、送らないとね』
『別にいいよ。柄じゃないし』
『花屋なのに、花を贈ったことがないなんてダメだよ』
『贈ったことあるだろ?』
『・・・じゃあ私だけ特別だね。お義母さんには私から贈る』
照れる香菜。プロポーズをしたときに香菜に人生でたった一度だけ花を贈った。
これまでもこれからも、花を贈るのは香菜だけだ・・・。
< 54 / 292 >

この作品をシェア

pagetop