お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「それで、俺が片っ端から見合いを断るもんだから、親父も考えていつもと違う方法で俺に見合い相手を引き合わせることにしたらしい。それを俺が知ったのが4月の終わりだ」
どきりと真帆の胸が跳ね上がった。まさに真帆の入社が5月の初めだったからだ。
嫌な予感がした。
いつもと違う方法とはまさか…。
息を飲んだ真帆からやや気まずそうに蓮が視線を外す。そして一瞬の沈黙のあと、無理矢理と言った様子でもう一度口を開いた。
「…小鳥遊会長のお孫さんを秘書室に入れるからと…」
「まさか!」
真帆は思わず声をあげた。
けれど思い返してみれば不思議に思ったことがいくつかあったのも事実だ。
藤堂不動産という一流企業に入社するにも関わらず、学歴はなんでもよいと言われ履歴書すら必要なかったこと、大叔父がやたらと真帆の見た目を気にしていたこと、それから美咲が真帆の彼氏の有無を気にしていたこと…。
「君は知らなかったんだな」
確認するように蓮が言う。それに頷きながらも真帆の頭の中はただただ混乱するばかりだった。
「そ、そんなこと…信じられない」
そう呟いてお茶のコップを両手で握りしめた。
「お、おじさまも美咲姉さんも何も言わなかったわ」
それはもちろんそれは知ってたら真帆が了承しなかったからだろう。だからといって、お見合い話を本人に相談もなく進めるなんて、随分と馬鹿にした話だと思った。
「副社長は初めから知ってたんですね」
真帆は蓮を見た。自分の声がどこか遠くに聞こえる。
蓮が眉を寄せて頷いた。
「あぁ、さらに言えば君もこの話を知っていると思っていた…だから」
「だから!」
真帆は蓮の言葉を遮る。
どきりと真帆の胸が跳ね上がった。まさに真帆の入社が5月の初めだったからだ。
嫌な予感がした。
いつもと違う方法とはまさか…。
息を飲んだ真帆からやや気まずそうに蓮が視線を外す。そして一瞬の沈黙のあと、無理矢理と言った様子でもう一度口を開いた。
「…小鳥遊会長のお孫さんを秘書室に入れるからと…」
「まさか!」
真帆は思わず声をあげた。
けれど思い返してみれば不思議に思ったことがいくつかあったのも事実だ。
藤堂不動産という一流企業に入社するにも関わらず、学歴はなんでもよいと言われ履歴書すら必要なかったこと、大叔父がやたらと真帆の見た目を気にしていたこと、それから美咲が真帆の彼氏の有無を気にしていたこと…。
「君は知らなかったんだな」
確認するように蓮が言う。それに頷きながらも真帆の頭の中はただただ混乱するばかりだった。
「そ、そんなこと…信じられない」
そう呟いてお茶のコップを両手で握りしめた。
「お、おじさまも美咲姉さんも何も言わなかったわ」
それはもちろんそれは知ってたら真帆が了承しなかったからだろう。だからといって、お見合い話を本人に相談もなく進めるなんて、随分と馬鹿にした話だと思った。
「副社長は初めから知ってたんですね」
真帆は蓮を見た。自分の声がどこか遠くに聞こえる。
蓮が眉を寄せて頷いた。
「あぁ、さらに言えば君もこの話を知っていると思っていた…だから」
「だから!」
真帆は蓮の言葉を遮る。