お見合い夫婦の結婚事情～カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています～
　上司の言葉を最後まで聞かないなんてしてはいけないことだけれど、平静ではいられなかった。

「だから、私に冷たかったんですね…！」

　ずっとずっと疑問に思っていたことの謎が解けた。

「…あぁ、そうだ」

　苦々しい表情で答える蓮に、真帆は目の前が暗くなるような気がした。
　恥ずかしくて堪らなかった。会社のために、副社長である蓮のために役に立ちたいなどと思いあがっていた。そんなこと誰も期待してはいないのに。そして見合いの相手としても、肝心の蓮から疎ましく思われていた。
　ずっと疑問に思っていたことの謎が解けて嬉しいはずなのに、その答えはあまりにも想像を超えすぎていて、足元がガラガラと崩れていくようだった。

「誤解していたとはいえ俺は君にひどい態度をとった本当に申し訳…」

「よく分かりました」

　再び蓮の言葉を遮って真帆は俯いたまま立ち上がった。とてもじゃないけれど蓮の方を見ることなどできない。それどころか今すぐにここから消えてしまいたいくらいだった。

「副社長が私にそうされたのは、当然だと思います。理由がわかってスッキリしました。…私、お先に失礼します」

　真帆は眉を寄せて真帆を見上げる蓮に頭を下げて座敷を出ようと回れ右をする。本当は何もスッキリとなどしていなかったけれど、とてもじゃないが続きを聞くことはできない。
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