お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 真帆は見上げるようにして蓮を振り返る。そこには、嘘くさいくらいに優雅に微笑む蓮の笑顔があった。

「この子はダメだ、良輔。諦めてくれ」

 真帆の胸がどきんと鳴る。嫌な予感がした。

「え?なんで?彼氏いるの?」

 良輔があっけらかんとして真帆に問いかける。父親の方の石川は真帆と蓮のことを承知しているようだったが、どうやら息子には言っていなかったらしい。

「石川、彼女は、副社長のお気に入りなんだよー、本社ではけっこ有名だぜ?」

 本社の営業マンと思しき人物から声がかかって真帆は真っ赤になってしまう。"お気に入り"なんて耳を塞ぎたくなる言葉だ。

「ええ?!ほんとに?!意外だなぁ!蓮兄さんがお気に入りを作るなんて!」

 石川が目を丸くして言った。本当に驚いているようで呼び方が完全にプライベートになっている。
 真帆はますます真っ赤になってしまう。そしてチラリと蓮を見上げると彼は平然として、信じられないことを言った。
< 265 / 283 >

この作品をシェア

pagetop