【完】ボクと風俗嬢と琴の音
こんなに愛しい命があるものか!!!
思わず抱き上げて、そのふわふわの毛の中に顔を埋める。
「琴音ーーーーー!!!!!!」
自分からすり寄ってきたくせに、こちらが顔を近づけると迷惑そうな顔をして俺の腕からするりと飛び降りる。
吊り上がった瞳でジィっとこちらを見つめて、にゃ~んと再び高い声を出す。
玄関の先の廊下には琴音専用の猫トイレ。トイレの片付けも出来ないけれど、そのお世話さえ全然苦にはならない。
身をかがめてトイレの掃除をしていたら、琴音がぴょんっと俺の肩の上に乗ってくる。
キューーーーーン!!!
そう、琴音は肩乗り猫。
SNS等では見た事があった。
けれど実際会った事がある猫で、肩に乗ってくる猫は初めてだった。
俺の背中から肩にかけて爪を少しだけ立てて、ゴロゴロと喉を鳴らしワックスで整えられた髪先で遊んでいる。
この時間が幸せだった。
琴音にとっては俺なんて奴隷同然なんだろうけど
甘えたい時に甘えて
嫌な時は高い所に上って
自己中全開な性格なのに
どうしてこんなに愛しいんだろう…。
トイレを片して、琴音を肩からおろすと次はご飯の催促が始まる。
台所に行くまで、琴音はニャーニャーと鳴きながら俺の足元にまとわりついた。
でもご飯をお皿の上に出してやるとその後は知らんふり。
必死にご飯にがっつく琴音を見て、今日1日の疲れが全て吹き飛んでいく。