【完】ボクと風俗嬢と琴の音
しかしながらここは大都会、東京。
24歳のまだまだ新米の俺は、切り詰めて切り詰めて、そして月にやっと数万ぽっちを貯金出来る。
仕事ではまだまだうだつが上がらない。
それでも職もあって、食べるには一応困ってはいない。ちっぽけながらも貯金も出来ている。
けれど、3か月前状況は一変した。
井上 晴人 24歳。 社会人2年目の夏。
ひとつ、困りごとを抱えていて、新しく住む家を探している途中。
「晴人、飲みにいかね?!」
「や、俺パス……」
「あ、あれ!受付の山岡さん!めっちゃ可愛いよなぁ~!
そうそう、来週末その山岡さんと合コンの約束取り付けたから!」
同期の優弥は俺とは全く正反対の性格で
社交的で、コミュ力が高くどこに行っても目立つような奴で
どうして俺なんかと付き合っているのかはよく分かんないんだけど
良い奴ではあるが、基本的に人の話は聞かない。
「は?!!!聞いてないけど!俺行かないよ!!」
「だいじょーぶだいじょーぶ!」
「大体金ないし!!」
「おっけおっけ!俺が出してやるから!
山岡さんもめっちゃ可愛いけど、山岡さんの友達も皆可愛いって噂だぞ!!」
「そういう事じゃなくて!!!」
やっぱり人の話は聞かない。
昼から取引先へ行って、夕方から会議。
一応今日は定時には上がれたけれど、ぐったりと疲労が襲ってくる。
同じ分の仕事をこなしてるはずの優弥はその疲れを一切見せずに、受付の山岡さんにフランクに話を掛けている。