【完】ボクと風俗嬢と琴の音


「あ、ありがとうございます!」

「携帯を見ながら
すごく慌ててたから…
きっとすごく忙しくて、急いでたんだなぁと思って。
怪我、大丈夫でしたか?」

「だ、大丈夫ですよ!!
ご心配ありがとうございます!光栄ですよ!本当に!」


自分でも日本語がめちゃくちゃで何を言っているか分からない。
でもそんな俺の姿を見ても、天使…いや山岡さんは本物の天使のような笑顔でクスクスと笑った。


人気があるのが分かるなぁ~。


「井上さんは真面目だから」


歩きながら、住宅情報サイトを見ていたなんて
口が裂けても言えない。


「来週末にある飲み会に井上さんもいらっしゃるんですよね?
井上さん、飲み会ってあんまり参加しないイメージだったから
良かったら今度ゆっくりお話ししましよう!」

「えぇ!勿論!」



天使にそう言われて、参加しないはずだった合コンに結局参加する羽目になって

会社を出ると同時に優弥に小突かれた。

「ほんっとお前ってずるいよなぁ~
山岡さんもお前狙いかよ~!」

「はぁ?!んな訳あるか!!
あんな可愛い子が俺なんかと何かあってたまるかよ!」

「晴人は自分をよく分かってないからさぁ~!!
同じ部署のお局様にも気に入られて、会社の高嶺の花にも好意持たれて
やっぱり最近はがつがついく肉食系より、母性本能くすぐられる草食系男子のがモテるのかね~」

「じょっ~だん!
優弥の方が断然モテるじゃんか!」


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