転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
「とにかく、先に帰っていて! すぐに私も帰るから!」

強制的に、モフタロウを家に送った。恨みがましい『ぐおおおおん!』という鳴き声を上げながら、魔法陣に呑まれていく。

モフタロウがガウガウ文句を言うせいで、遅れてしまった。慌てて、玄関へ走って行く。当然ながらローデンヴァルト先生は待っていて、「遅い!」と怒られてしまった。言い訳はしたくないので、素直に「ごめんなさい」と謝った。

ヒポグリフォンに跨がって、空を飛ぶ。美しい夕暮れを背に、少しだけ冷える夏の空を飛んでいく。

「ローデンヴァルト先生は毎日、こんなきれいな空を見ているんだ。とっても贅沢」

「きれいな空?」

夕日を指差すと、感嘆するような声が聞こえてきた。

夏の夕暮れは、眺めていると切なくなる。楽しい夏休みが終わることを連想してしまうからだろうか。そんなことを語って聞かせたが、いまいちピンときていないようだ。

「夕日は夕日だろうが。どれも同じだ」

「違うんだって」

そもそも、空を見上げることすらしないという。
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