転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
駆け寄って箱を叩くと、反応があった。聞こえる声は、元気そうだ。

「フロレンツィア、待っていて、すぐに助けるから!」

上にあった木箱をどけようとしたが、持ち上がらない。

「おい、ふたりとも、下がれ」

ローデンヴァルト先生が魔石の入った木箱を、蹴り落とす。魔石がバラバラと、床に散らばる。木箱の中身は、それほど入っていなかったようだ。けれど、非力なフロレンツィアでは、押し上げることはできなかっただろう。

蓋を開いたら、口を布で塞がれ、手足が縛られた状態のフロレンツィアを発見した。

ローデンヴァルト先生がフロレンツィアを横抱きにして抱き上げ、箱の外に出す。口と手の布をナイフで裁った。

「はあ、はあ、はあ!」

「フロレンツィア! 怪我はない?」

見たところ怪我はなさそうだが、念のため聞いておく。

「へ、平気ですわ。けれど、ルビーちゃんが!!」

「フロレンツィア・フォン・ヘルフェリヒ、落ち着け」

「え、ええ……」

どうやら、フロレンツィア誘拐の目的は、カーバンクルのルビーだったようだ。

「“魔法薬学科”に向かう馬車に乗っていたら、突然何者かに襲われましたの。わたくしは、ナイフを突きつけられてしまい……。おののいている間に、ルビーちゃんは連れ去られてしまいましたわ」

襲撃した者達は、全身黒衣で顔すら見せなかったらしい。
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