転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
「ニコラ!! フロレンツィア!!」

返事はないが、代わりにモフタロウが『がうがう!』と鳴く。ふたりは大丈夫だと。モフタロウの耳に、ふたりの息づかいが聞こえるらしい。

「くっ……!」

ローデンヴァルト先生の苦悶の声が聞こえる。外套は焼け、背中が真っ赤に染まっていた。

何かが焦げたような臭いが漂っていたが、まさかローデンヴァルト先生が火傷を負っていたなんて。

「なっ、ローデンヴァルト先生!!」

酷い火傷である。すぐに回復魔法の呪文を唱えたが、発動しない。隣でモフタロウが『がう!』と吠える。この空間は、魔法は使えないと訴えていた。そうだった。動転して、すっかり忘れていた。

『がう、がうっ!!』

モフタロウは私を鼓舞するように鳴き、ベルトから鞄を引き抜く。それは、携帯魔法薬を入れたものだった。

「あ、そうだ! 火傷の魔法薬!」

小瓶に入った火傷の魔法薬である。しかしこれは、塗り薬ではない。直接飲まないと、効果は現れないタイプだ。

「ローデンヴァルト先生!! 起きて!!」

意識はない。こうなったら、口移ししかない。命がかかっているので、即座に覚悟を決めた。制服のジャケットを脱ぎ、傷口に当てる。そして、体を起き上がらせた。

「ぐうっ」

成人男性なので、かなり重たい。上体を起こしたら、モフタロウがローデンヴァルト先生の体を支えてくれる。
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