転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
馬車は走り出す。ヴォルフガング殿下のお付きが追っていたが、人の足で馬車に追いつけるはずがない。どんどんと、その姿は小さくなっていった。

ニコラは安堵していたが、フロレンツィアの表情の強ばりは解れなかった。

「あ、そうだ。フロレンツィア、また、痛いの?」

回復魔法で治してあげなければ。そう思うよりも先に、ニコラが動いていた。

「フロレンツィア様、お腹が痛いのですね? すぐに、回復いたします」

ニコラはフロレンツィアの腹部に手を添え、回復魔法の呪文を唱えた。すると、一瞬にしてフロレンツィアの顔色がよくなる。

そういえば、ニコラは回復魔法が得意な光属性だ。私よりも効果的に、フロレンツィアの腹痛を治せるのだろう。

「フロレンツィア様、大丈夫ですか?」

「え、ええ……。その、ありがとう」

「いえいえ、よかったです」

それから、馬車の中はシンと静まりかえる。
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