転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
沈黙を破ったのは、フロレンツィアだった。

「ねえ、グレーテ。この馬車は、どこへ行くの?」

「“魔法薬学科”の第二校舎、だけれど」

「嘘でしょう?」

“魔法薬学科”の第二校舎は、馬車で三十分かかる。つまり、“魔法騎士科”の第一校舎に戻れるのは一時間後になってしまうのだ。フロレンツィアとニコラは、確実に遅刻となる。

ニコラは気まずそうな表情で、使い魔の赤ちゃん竜のお腹をぷにぷにしている。

一方で、フロレンツィアはというと、ぶるぶる震えていた。

「あの、フロレンツィア、ごめんなさ――」

「ふふ、あはは! な、なんて、愉快ですの!!」

「へ?」 

「あなた、ヴォルフガング殿下の従者をごらんになりまして? 間抜けな表情で、馬車を見つめて」

「それは、見たけれど……って、ええ!?」
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