16歳、きみと一生に一度の恋をする。
ボーリング場を出る頃には、午後十時になっていた。
……まだ、家に帰りたくねーな。もう少し時間を潰そうと、ひとりで夜道を歩く。
とくに行き先を決めていたわけじゃない。けれど、足は一直線にある場所を目指していた。
いる、いない。いる、いない。
星を見つけるたびに、心で自問自答していく。
諦めなくちゃいけないのに、そうできない。
もしも、もしも彼女があの場所にいたら……。
反発し合っても重なりたいという気持ちは同じだと自惚れてもいいだろうか。
そんなことを考えながら、俺の足は河川敷で止まった。
川は真っ暗な塊にしか見えないし、草はチクチクするし、誰もこんな場所に好き好んで来ないだろう。
俺と、彼女以外は。
「さらってやろうか」
声をかけた先には……膝を抱えている汐里がいた。