16歳、きみと一生に一度の恋をする。


彼がいなくなった冬休み明けの三学期はあっさりとはじまり、晃が学校を辞めたことは人伝に広まっていた。

寂しがっている人。清々(せいせい)してる人。まったく興味がない人。

反応は人それぞれだったけれど、みんな口を揃えて言っていたことは、『まあ、いつか辞めると思ってた』だった。

たしかに真面目な印象は薄いけれど、最後まで誰にも打ち明けなかった病気を抱えながらも、彼が彼なりに学校を続けようとしていたことを私は知っている。

「藤枝くんと連絡取ってないの?」

みちるはずっと私たちのことを心配してくれていた。

「取ってないよ。向こうからも来ないしね」

「電話くらいかけてみたらいいのに……」

「ううん。いいの」

私は明るく返す。

声を聞けば、会いたくなる。 

会いたくて、仕方なくなる。

きみは遠くにいった意味を、忘れていいと言った意味を、世界で一番幸せになってほしいと言った意味を、私はしっかりと考えている。

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