16歳、きみと一生に一度の恋をする。
少しシワの数が増えた気がするけれど、お父さんの顔や雰囲気は変わっていなかった。
「うん。久しぶりだな」
お父さんは私の正面に座った。とりあえず形だけでもと、お父さんはアイスコーヒー、私はアイスティーを注文した。
「汐里、ずいぶん大人っぽくなったな」
「まあ、最後に会ったのは小学生の時だったからね」
「……そう、だよな」
やり取りはお父さんのほうがぎこちなかった。
飲み物が運ばれてくると、お父さんは人目も憚らずに私に向けて深く頭を下げた。
「謝っても許されることじゃないけど、汐里たちには本当にすまないことをしたと思ってる」
「……本当に悪いと思ってた? 思ってたなら私たちより他の人を選んだりしなかったんじゃない?」
これは単なる嫌味ではない。ちゃんと正直なことを言わないと会った意味がないと感じていた。
「……たしかにあの頃の俺は汐里たちへの思いやりに欠けていた。本当に本当に悪かった」
私は意味もなく、アイスティーの氷をストローでかき混ぜる。
謝ってほしかったわけじゃないし、そうされたところでなにも変わらないって思っていたけれど、謝ってもらえて、少し気持ちが楽になっている自分もいた。
「……知子は元気にしてるか?」
顔が上げたお父さんと目が合った。
建前で聞いているような瞳じゃない。お母さんの名前を呼ぶその姿に自然と胸がぎゅっとなっていた。