16歳、きみと一生に一度の恋をする。
「元気だよ。最近は暖かくなってきたからベランダで植物を育てようって、この前一緒に花屋を見にいったよ」
「そうか」
お父さんは安心したような顔をしながらも、声だけは震えていた。
とっくに私たちのことなんて忘れて生きていると思っていたけれど、ちゃんとお母さんのも頭に残っていたようだ。
「学校はどうだ? 今日から二年生だろう」
「べつに私は変わらないよ。慕ってくる後輩もいないし」
だけど、彼がいない学校は少しだけ殺風景で、私はずっとなにかが足りない。
「……ねえ、晃は元気?」
膝の上に置いていた手に力を込めていた。今日はそのことも含めて、お父さんに電話をかけた。
晃の名前を出してもお父さんは驚いていなかった。
まるで私たちの関係を知っていたかのように。
「ああ、元気にしているよ」
それを聞いて、ホッと胸を撫で下ろす。