16歳、きみと一生に一度の恋をする。
「……あ」
動揺とともに、小さな声が漏れる。
そこにいたのは、晃のお母さんだった。
彼のお母さんと会うのはこれで二回目。
遊園地の帰り道では暗かったし、私もそそくさと逃げてしまったので、あまり顔は認識されていないだろうと思っていたけれど、晃のお母さんは私のことを覚えていてくれた。
「初めましてではないけど、ちゃんとご挨拶させてね。改めまして、晃の母です」
そう言って、手を重ねて丁寧に頭を下げてきた。
あの時は認識されていなかったけれど、今は私のことをお父さんの娘だとわかっているようだった。
「こんにちは、今井汐里と言います」
誠実さが伝わってきたので、私もちゃんと頭を下げた。
「ここにいるってことは、もしかして晃に会いにきてくれたの?」
「はい。そうです」
「晃は中庭にいるわ。来訪者でも入っていい場所よ。ここからだと外から回ったほうが早いから、まずは玄関口を右手にいって、その突き当たりを曲がれば見えてくるわ」
「……私が晃に、会ってもいいんですか?」
私のお母さんが戸惑ったように、彼のお母さんも私たちのことを普通なら認められないはずだ。
なのに、とてもすんなりと居場所を教えてくれたので、私のほうが心配になっていた。