転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「劇的な変化をすぐに求めているわけじゃない。逆に、十年もいた場所だ。そう簡単に離れられないだろ」

 フィデルが別邸暮らしを続けるなら、私は出て行かなくちゃならないわよね……。
 フィデルと別邸で過ごす日々がなくなると思うと、ちょっと……いや、かなり寂しい。

「あと――そこにいるニールをこれからも、俺の専属執事として雇ってくれ」
 言いながら、物陰から顔を出しているニールを指さすと、、ニールはバレたことに驚きサッと姿を隠した。あれでバレてないつもりだったのかが疑問だ。

「ああ。ニールは解雇してしまったからな。すぐにまた契約を交わし直そう」

 ニール、どうってことないって言ってたのに解雇されてたの!?
 そりゃそうか。勝手に私を別邸に入れて、その後も鍵をかけず、私を匿うことに協力してたんだものね。
 事件が起きるまでは許してもらえてたけど、昨日の一件ですぐ解雇されたってわけだ。

「ニール。いつまでそこにいるつもりだ」
「は、はいっ!」

 フィデルに呼ばれ、ニールは従順な犬のように、返事をするとすぐにフィデルのもとへ走ってきた。

「お前、俺に嘘をついたな。なにが〝いらない心配は無用〟だ。地位のあるドリスはともかく、お前が処分されていないのはおかしいと思ったんだ」
「……申し訳ございません。あのときは、フィデル様を逃がすことしか頭になかったのです」
「お前はいつも、俺のことばかりだな。たまには自分を優先していいんだぞ」
「いえ! 私はフィデル様にお仕えすることが生きがいですので!」

 ニールが即答すると、フィデルはふいっとそっぽを向いた。あ、これ、フィデルが照れてるときにするやつだ。

「……悪かった。お前を巻き込んで。それと、今までありがとな。ニール。これからも……よろしく頼む」
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