転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「出て行くのか?」
「だって、私が匿ってもらう理由がなくなったじゃない。フィデルからしても、さっさと出て行ってほしいでしょ?」
「……コンビを解消しないと言ったのはシエラのほうなのに、案外薄情なんだな」

 むっとした顔をしてフィデルは言う。……あれ? なんか怒ってる?

「コンビは解消しないよ! でも、フィデルは自由になったんだから、いつでもどこでも会えるじゃない」
「シエラがそうしたいなら、そうすればいいだろ」

 つーんとした態度で、フィデルはずかずかと早歩きする。

 私を置いてくつもり? そうはさせないんだから。
私も負けじと歩くペースを速め、フィデルの横をキープする。

「じゃあ、フィデルはどうしたいの!?」

 投げかけるように言うと、フィデルは急に足を止めた。

「俺は……シエラが一緒にいてくれるなら、いてほしい」

 私の正面に向きなおってそう言うと、フィデルは私に手を伸ばした。

「……好きだ。シエラ」

 髪を優しく撫でられ、フィデルの指が、なめらかに動きながら私の髪を耳にかけた。
 フィデルになぞられた部分だけが熱を帯びて行く。
 待ち望んだセリフなのに、実際言われるとすぐに言葉が出てこない。
 心臓がうるさくて、フィデルの声が聞こえなくなりそうだ。

「……私も、フィデルのことが好き」

 絞り出すように、やっとの思いで言うと、フィデルは安心したような笑みを浮かべた。
 グッと抱き寄せられ、フィデルは私の髪に顔をうずめる。

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