転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「最初は、シエラのことはただの協力相手と思っていた。でも、俺にない強さを持って、いつも前向きなシエラに次第に惹かれていった。シエラが――俺の世界を、変えてくれたんだ。シエラは事件に遭う人を守りたいと思ってただろうけど、俺は、そういう人を守ろうとするシエラを守りたいって思ったんだ」
「フィデル……」
「俺は、シエラがいないとだめみたいだ。情けない話だがな」

 最後は耳元で囁かれ、フィデルの熱い吐息がかかる。

 ――クールでツンデレなフィデルはどこへ行ったのか。

 次から次へと甘い言葉を浴びせられ、このままじゃ溶けてしまいそう。
 だらしない顔を見られたくなくて、両手で顔を覆うと、フィデルが私の手を掴んだ。

「だ、だめ。私今、幸せすぎてすごく変な顔してる」
「見たい。どんなシエラも、俺には愛しく感じるから」

 手を強引に退かされ、そのまま指を絡めとられる。
 フィデルは私の顔を覗き込むと、真っ赤になってるであろう私を見て、小さく笑った。
 そしてそのまま、フィデルの顔がちかづいてきたと思うと、唇にやわらかい感触を感じた。

 ――私、今、フィデルにキスされてる?

 繋がれた手に力がこもる。ぎゅっと握れば、フィデルも応えるように握り返してくれた。
 唇が離れると、また優しく笑いかけてくれるのかと思いきや、なにやらフィデルは神妙な面持ちをしている。

「フィデル……どうかしたの?」

 私とのキスに、おかしいことでもあったのだろうかと不安になり聞いてみると、フィデルは「いや……」と口ごもりながらも話し始めた。
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