転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
 全員がエリオットに不信感を抱き始め、ざわめきの声がどんどん大きくなる。
 あらゆる方面から飛んでくる声。まるで尋問にでもあっているかのようなエリオット。

「みんな騙されないで!」

 そこへ、全ての声を遮るように、ロレッタの声が響き渡った。

「このふたりは異能者! 恐ろしい力の持ち主同士に手を組ませれば……国が支配されてしまうわ! そうでしょう? エリオット様」
「……そうだ! フィデルは予知能力、シエラは千里眼の力を持っている! ふたりに好きなように使われてしまえば、この国に自由などなくなるぞ!」

 頭の悪いロレッタにしては、いい助け船を出したじゃない。……なんて、感心してる場合じゃない。
 今の主張で、流れをまたエリオットに持っていかれてしまった。異能なんてものが身近にない人々は、普通ではない力を持つ私たちに恐怖を感じ始めたのだ。

「万が一のことを考え、僕は国のために、ふたりをこの場で拘束することを提案させてもらう。……先ほど、シエラに力がないと言ったのは嘘だ。あれは僕なりに、シエラを庇ったつもりだった。僕は、シエラが異能者であることを隠し、王妃という座につき国を支配しようと目論んでいたことに気づいてしまったのだ。だから、婚約破棄をするしかなかった。最初は普通にシエラを愛していたが、シエラは僕のことを愛してなどいなかった。そんなとき、支えてくれたのがロレッタだったのだ。……かつて愛した人を拘束なんてしたくない。だからシエラに、普通の人間のふりをして家に戻り、静かに暮らす道を作ってあげたつもりだったのだが……結局こんなことになるなんて」
「エリオット様……。シエラを助けるために、わざとシエラにひどい言葉を浴びせたのですね……。本当に優しいお方……」

 こちらが口を挟む隙も与えず、エリオットはこの空気を完璧に自分のものにした。ロレッタはわざとらしく、エリオットを後ろから優しく抱きしめる。
 よくも、次から次へと都合のいい嘘が口から出てくるものだ。私を庇う? 全部の責任を、わたしに押しつけようとしていたくせに……!
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