エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
「……そうですよ。あの人は私の前では優しくて物腰柔らかくて……だから温かい家庭が築ける。そう思っていたのに!」

私はグラスに残っていたジントニックを一気に飲み干して、おかわりを頼んだ。

「おい、有川……」

心配してなのかそれとも豹変したからなのか課長は私の飲みっぷりに若干引き気味だった。

だけどお酒の力も相まって止まらなくなる。

「私のどこがダメなんですか?自分でいうのもなんだけど顔だって悪くないし、お腹だってまだ出てないし、胸だって……全くないわけじゃないんですよ」

「そうだな。わかったから」

課長が私の暴走を止めようとするが私は、昼間の出来事を思い出したら言わずにはいられなくなった。

「だけど……可愛かったんです。髪の毛なんかクルクルですごくすごく可愛くって……。そんなに好きな子がいるならいるって言って欲しかった」

私はおかわりしたジントニックを一気に飲みほした。

「おい、有川、そんな飲み方は」

私は重くなりそうになったまぶたを押し上げるように開き課長をじーっと見つめ、ほくそ笑む。

「やっぱり男の人はみんなふわふわで緩やかなヘアースタイルで可愛いワンピース着てブランドものの小ぶりのバッグ持って。語尾を少し上げるような女の人が好きなんですよね〜。課長だって好きですよね。そういう女の人」

ずっとずっと悶々としていた気持ちが口をついて出てきてしまう。

こずえの前では落ち着いていられたのになんで課長の前ではこんなになってしまうの?

課長は関係ないのに……。

ただ話を聞いてくれていただけなのに……。

「確かにそういう女性が好きな男はいる。だけど俺は好きじゃない」

「本当に?」

嘘でも嬉しくって、課長の前に顔をつきだし笑顔を向けた。

「ああ、俺はお前みたいな女が好きだ」

いつも憎たらしいと思っていたけど、初めて課長をいい人だと思った。

きっと私を慰めるための言葉だっただろうけど、私には十分だった。

だがそう思った矢先、調子に乗って飲んだお酒の効果が現れてしまった。
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