エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
「お、おい!もしかして泣いてるのか?」

課長があたふたしながらテーブルの上のティッシュを私に差し出した。

「初めて……初めてのキスだったのに……覚えてないなんて」

教会での初めてのキスよりも自分にその記憶がないことの方がショックだった。

だって初めてよ。

これが泣かずにいられますか?

「まさかと思うが……キスが初めてってわけないよな?」

課長がどういう気持ちで聞いたのかわからない。

何も答えないでじっと課長を見つめると、課長は気付いたようで「マジか」とかなり驚いている。

どうしよう。これって浮気になるの?

でも明久さんだって私の他に女の人がいるじゃない。

そう思った時だった。

突然スマートフォンの着信音が鳴った。

「おい、お前の電話じゃないのか?」

「は、はい……でもどこに?」

自分がどこに置いたのかも覚えておらずキョロキョロとあたりを探した。

「これか?」

そういって課長が床に落ちていたスマートフォンを拾い上げ私に差し出した。

「すみません」と言って画面を見ると相手は明久さんからだった。

ど、どうしよう。

今日会う約束してたんだった。

そして画面に映った時刻を見て一気に血の気が引く。

約束していた10時を過ぎていたのだ。

どんなに早く着替えたところで間に合わない。
< 24 / 175 >

この作品をシェア

pagetop