エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
「どうした?」
慌てている私を見て課長が声をかけた。
でも課長に言ったところでどうにかなるものでもない。
とりあえず電話に出よう。
「もしもし」
『もしもし泉さん?僕です』
昨日のカフェで愛人と話している時の声とは全く違う、いい人そうな優しい声だった。
「お、おはようございます」
『もう家を出たかなと思って……いつもより遅いから心配になっちゃって』
彼が何を考えているのかわからない。
それに昨日あんな現場を目撃して普通にデートを楽しむことができるの?
『泉さん?』
「は、はい……あの——」
返事に困っていると課長が後ろから私をギュッと抱きしめた。
そしてスマートフォンを当てている反対側の耳元で「行くな」と甘い声でささやかれ全身にとろけるような痺れを感じた。
ど、どうしよう。返事に迷っているとまたも課長が「行くな」と囁いた。
もう!
「す、すみません。実は……昨夜から体調を崩してしまい、ギリギリまで悩んでたんですが……」
初めて明久さんに嘘をついた。
だけどあまり罪悪感は感じなかった。
『それはいけない。僕はいつだっていいんだ。それよりもゆっくり休んでください。なんならお見舞いに——』
「いいです」
速攻だった。
『泉さん?』
「すみません。寝てれば良くなると思うのでお気になさらないでください」
『じゃあ……また連絡します。お大事にしてください』
「ありがとうございます。失礼します」