My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
(セリーン……)
彼女の強さは知っているけれど妙な胸騒ぎがした。海賊たちがどれだけの数いるかどうかもわからないのだ。
私はぐっと拳を握る。
「ラグ、お願い。ラグも行って!」
「は?」
振り返り顔をしかめた彼に私は続ける。
「私は行ってもきっと何も出来ないし、ブゥとここで待ってるから」
するとブゥはラグの頭から飛び立ち、任せてとばかりに私の前でくるりと一回転してみせた。
「船ごと奪っていく海賊もいるって言ってたし、そうなったら大変だよ!」
それにきっとラグだって、セリーンが心配でないわけがないのだ。