My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
それからどのくらい経っただろう。
時折聞こえてくる大きな声や物音にビクビクしながらひたすら祈りふたりの帰りを待った。その時間は長くもあっと言う間にも感じられた。
ぐらりと船体が一度大きく揺れて、そのすぐ後だ。バタバタと足音が近づいてきたかと思うと乱暴に扉を叩かれびくっと肩が跳ねる。
「俺だ開けろ!」
「ラグ!」
私は歓声を上げすぐに鍵を開けた。
扉が開いて見たラグは酷く慌てた顔をしていて嫌な予感がした。
「セリーンは」
そう言いかけてぐいと腕を取られ強く引っ張られる。
「来い!」
「え!?」
つんのめるようにして私は廊下に出た。ラグはそのまま甲板の方へと走っていく。後ろから飛んできたブゥが彼のポケットに入るのを見て私は訊く。
「ねぇ、セリーンは」
「あいつ、海賊船に乗って行きやがった!」
「えぇ! ど、どういうこと!?」